日産自動車

リスク軽減の方向性

過去の経験から学んできたリスク軽減の方向性としては三つがあります。

 

一つ目は、固定費の抑制です。市場の拡大に合わせて工場を建設していくと、どうしても負担が大きくなります。いかに既存工場を効率的に活用していくかを考える必要があります。3直体制まで稼働を増やしながら、成長継続の確度が高いところから少しずつ能力拡大の判断をするなど、慎重な投資が必要です。

 

二つ目は、現地化です。これにより為替リスクの軽減も図ります。かつてアジアの通貨危機を経験しました。「為替抵抗力」と呼んでいますが、為替の変動に対する抵抗力、あるいはある国の通貨の暴落などによる大きな経営リスクを軽減しておくようにします。例えば、中国では、部品を人民元で購入し、製品を人民元で販売し、給料も人民元で支払えば為替のリスクはなくなります。このリスクを念頭においた経営が重要です。今回の震災では海外への部品供給が止まった例がありましたが、各市場で国産化・現地化をしておくことはリスクの分散にもつながります。日産の場合、現地化比率を高めてきたため、海外における日本製部品の依存度は比較的小さいと思います。現地化については、部品の現地化だけでなく、人材の現地化も非常に重要です。それが、最終的に各国において顧客から良い評価を得られるブランドとして認知されることにつながります。日産は日本の会社ではありますが、中国やインドでも現地に合ったブランドとして認めてもらえれば、それも一つのリスク分散となります。

 

三つ目は、相互補完です。固定費の抑制と現地化を図りつつ、地域間でのノウハウの補完やキャパシティの補完を通じて、世界中のリソースを有効に活用します。これにより、全体のレベルを底上げして対応力を高めつつ、余剰な固定費を最小化します。リスクは山ほどあります。自分たちでできるこのような対策を進めておくことが大事だと考えています。